ジンセイ=ジンセイ!

聖戦士としてならワンチャンあると思う

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる16感想

 復讐について

 俺修羅15巻が10巻に並ぶ激エモオチだったのは、鋭太が行動した理由が過去にあったからでしょう。厨二病の空想の力に溺れて幼馴染に何も出来なかった鋭太は、自分の未来を犠牲にして過去の自分が出来なかった事をやり遂げました。16巻では、それが一種の復讐だったと鋭太は自己分析しています。面白いですね、復讐。鋭太が何に復讐したか、殴り書きしてる今はあまり言語化出来ないんですが、過去の自分とか無情な世界とかって読んでまあ間違っていないと思います。極論を言えば、鋭太の物語はここで終わっていいかもしれません。大学に行けなくても、医者になれなかったとしても鋭太の医者になりたいという原動力になった思いは、復讐によって満たされました。周りの思惑に絡めとられ、復讐は美談になってしまいましたが、少なくても鋭太の中では完結しています。

 さて、季堂鋭太の理解者でもありながら敵であり、一巻から恋愛に復讐しようとしている女がいます。みんな大っ嫌い夏川真涼です。恋愛が嫌いで恋愛脳も嫌い、お互いを思い逢う本物の恋愛は本物故にすれ違うからクソ、と何なら一巻よりも拗らせた悪魔です。大好き。

 俺修羅で特筆したいのは、実は俺修羅世界には割と救いが溢れているという点です。季堂鋭太が推薦で医学部に入りたかった理由は冴子さんに負担を掛けたくないから――というのは独り善がりであり、実際に冴子さんには鋭太を医学部へ通わせるだけの覚悟と財力があります。冴子さんの再就職が上手く行かなくても、アフロが鋭太に相応しい他の職について道標をくれるかもしれませんし、もしかすれば春咲家の援助だって頼ったらあったのかもしれません。鋭太がそれに頼らないのは、単なるエゴであり、自己陶酔です。ですが、それが中二病でしょう。世界は救いを用意してくれているし、それに凭れ掛るだけの余裕もありますが、それを捨てるのではなく横に置き自分の力でどうにかしようとするのは、復讐であり中二病であり、自分の力なんでしょう。

 最近のシリーズで敵をやっていたカオルは、近くにあった季堂鋭太という救いを拒み、自分と違いルールを破る女に、そして性を憎んで復讐し、罰を望んでいました。カオルの気持ちに気づかなかった鋭太は悪かったのかもしれませんが、救いによって世界が変わってしまうかもしれない、なんて事をカオルは怯えていました。LGBTについてわかったような事は言えませんが、少なくても当事者に取って生きやすい世界であるとはまだ言えないと思います。ですが、鋭太はどんな形であれカミングアウトした親友に対して、傷つけてしまうような答えがあったとしても不誠実な答えは無かったでしょう。それを救いとして受け取れるかどうかは次巻以降ですが、少なくても鋭太に感化されでゅくしでゅくしと楽しくやっている姿は、救われたと解釈したいものです。

 話は戻って夏川真涼。大団円を蹴っ飛ばす悪魔。恋とか愛全てを滅ぼしたい女。夏川真涼にとって親父の存在が最早とるに足らない存在としての理由は、恋愛に溺れてついでに子供を捨てたり利用したりする屑だからだという、当然の憎しみからでした。反対に言えば、恋愛に溺れずに、自分を好きになってくれた女の子四人を大切にしたいという理由でハーレムを築くと決心した季堂鋭太は、夏川真涼の敵をなり得ます。この戦いで夏川真涼が勝って何か得るものはあるのでしょうか。破滅でしょう。そんな夏川真涼にも、季堂鋭太という救いがあります。手を取り、救いを求めたら助けてくれる存在、それを否定することがどれほど過酷か、次が楽しみですね。

 

その青春

 ファントムブラッドよりその青春、正直人生ちゃんは空条承太郎 未来への遺産とスターダストクルセイダースどっちの方がカッコいいかって言われると迷いますが、一部なら確かにその青春の方がカッコいい。言及されたジョナサンとディオの空白の時間にあった(であろう)協力と、そこから発展する二人が殺しあわず、ほどほどの関係で互いを認め合いともに歩んでいくというIF。そんな事に満足できるはずが無いと夏川真涼は切り捨て、そんな気性だからディオは破滅した、と鋭太は解釈しました。鋭太に黄金の精神があるかどうかは要審議ですが、悪の帝王夏川真涼にとって温い幸せで妥協し復讐をやめるなんて事は出来ないでしょう。

 ですが、夏川真涼と鋭太の間には、その青春が確かにあります。フェイクの関係であり、季堂鋭太の復讐を唯一理解し、ジョジョネタで一緒に遊び、自演乙で共に過ごしました。その青春が未来への遺産となり、悪の帝王を真っ二つに破裂させるのではなく首を抱いて死ねるような関係でいれたら、それも綺麗かもしれませんね。

 

  はたらく魔王さま!なんてラノベアニメが今更二期決まると、もう時間たったし……とか完結したから……で諦めていたラノベアニメの二期が見たくなってきますね。